- バーキンはTPOに応じた持ち方があり、表持ち(フォーマル)、アンダーアーム(都会的)、裏持ち(セキュリティ重視)など状況に合わせた使い分けが重要である。
- ツイリーやカデナといったエルメスのアクセサリーを活用することで、バーキンの個性を演出し、同時にハンドルなどの保護にもつながる。
- 定期的なケアとメンテナンスがバーキンの価値と美しさを長期間維持する鍵であり、使用後の軽いケアから専門家による定期点検まで、継続的な気遣いが必要である。
エルメスのバーキンバッグ。そのシルエットを目にするだけで、多くの方の胸が高鳴ることでしょう。1984年に英国の女優ジェーン・バーキンと当時のエルメス社長ジャン=ルイ・デュマの機内での偶然の出会いから生まれたこのバッグは、今や単なるアクセサリーを超え、ファッション界の至宝として君臨しています。
手作業で約18時間かけて作られる至高の逸品。その希少性は、いまだに「待機リスト」という神秘的な存在を生み出すほどです。そんな特別なバーキンを手に入れた喜びもつかの間、「正しく使えているだろうか」「もっと素敵に見せるコツはないか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、バーキンの持ち方からスタイリングテクニック、日常的なケアまで、このアイコニックなバッグを最大限に生かすための知識をお届けします。これからバーキンの購入を検討されている方も、すでに愛用している方も、新たな視点とアイデアを得られることでしょう。
参照:エルメスの公式オンラインストア | Hermès – エルメス-公式サイト
バーキンの基本構造と伝統的な持ち方

バーキンの美しい持ち方を極めるには、まずその独特な構造を理解することが不可欠です。フラップ(蓋)とサングル(ベルト状の留め具)は単なる機能的パーツではなく、バッグのアイデンティティを形作る重要な部分です。フラップを閉じる際は、両側のサングルをポンテ(ターンロック金具)に通し、中央のサングルを最後に締めることで、美しいシルエットを保ちます。
「バーキンを初めて手にしたとき、このサングルの扱いに少し緊張しました。でも慣れると、この動作すら楽しみになってきます」と、10年来のバーキン愛用者である著名スタイリストは語ります。
カデナとクロシェットの魅力
エルメスのカデナ(南京錠)とクロシェット(鍵)は、バーキンの実用性と美学が見事に融合した部分です。セキュリティを確保しながらも、そのゴールドまたはパラディウムの輝きは装飾としての役割も果たしています。バーキンのカデナは単なるセキュリティ装置ではなく、バッグの個性を表現する重要な要素として機能します。カデナをクローズした状態で使用するか、オープンにしたまま飾りとして活用するかによって、バッグの印象も変わります。
伝統を尊重する持ち方の基本
バーキンには、その美しさを最大限に引き立てる伝統的な持ち方があります。表持ち(フラップとサングルのある面が外側を向くスタイル)は、エルメスの意図した正式な持ち方であり、バッグの美しさを存分に引き立てます。特に公式な場やビジネスシーンで相応しいスタイルです。
アンダーアーム・スタイルは、バッグを脇の下に軽く抱えるように持つ方法で、特に都会的でスタイリッシュな印象を与えます。25cmや30cmのバーキンに特に適したこの持ち方は、多くのファッションインフルエンサーにも愛されています。腕は軽く曲げ、リラックスした姿勢を維持することで自然な印象になります。
小さめサイズのバーキン(特に25cm)は、フラップを閉じてハンドルを内側に倒し、クラッチバッグのように持つことも可能です。このクラッチ・スタイルは、特にイブニングパーティーやフォーマルなディナーの場で際立ちます。バーキンのクラッチ・スタイルは、昼はハンドバッグとして、夜はクラッチとして楽しめる変幻自在さが魅力です。
シーンに応じた持ち方の使い分け
バーキンは基本的にハンドバッグとして設計されていますが、シーンに応じた持ち方の使い分けが重要です。以下の表は、様々なシチュエーションにおける最適な持ち方を示しています。
シーン | 推奨される持ち方 | 補足事項 |
---|---|---|
ビジネスミーティング | 表持ち・手持ちスタイル | フラップを閉じ、カデナを装着した状態で |
カジュアルな外出 | アンダーアーム・スタイルまたは肘掛けスタイル | よりリラックスした印象に |
イブニングパーティー | クラッチ・スタイル(小型サイズの場合) | エレガントな佇まいを演出 |
長時間の移動 | オプションストラップを使用した肩掛けスタイル | 両手の自由を確保 |
混雑した場所 | 裏持ちスタイル | セキュリティ面での安心感 |
「バーキンの持ち方はTPOによって使い分けることをお勧めします。公式行事ではしっかりと手で持ち、日常ではより使いやすいスタイルを選ぶと良いでしょう」と、エティケットコンサルタントは指摘します。
モダンな持ち方とスタイリングテクニック

伝統的なスタイルを尊重しつつも、現代のファッションシーンではより個性的でモダンなバーキンの持ち方も注目を集めています。これらの新しいスタイルは、クラシックなバーキンに新鮮な魅力を加えます。
裏持ちの現代的魅力
「裏持ち」は、バッグのフラップ側を身体に向け、背面を外側に見せるスタイルです。セレブリティやインフルエンサーの間で人気が高まり、今や確立されたスタイリングテクニックとなっています。裏持ちの最大の魅力は、セキュリティと洗練されたミニマルな美学の両立にあります。バッグの開口部が身体側になるため安全性が高まり、同時にシンプルな背面デザインが都会的でモダンな印象を与えます。特に混雑した都市環境や防犯意識が高い場面で実用的なスタイルといえるでしょう。
オープンスタイルとメンズバーキン
フラップを開けたまま、サングルを緩めた状態で持つ「オープンスタイル」は、カジュアルなシーンで気取らない魅力を放ちます。サングルは完全に外さず、緩めた状態で使用することで、バーキンの堅苦しいイメージを和らげ、より親しみやすい印象に変えます。特に週末のショッピングやカフェタイムには最適なスタイルです。
近年、メンズファッションの世界でもバーキンの人気が高まっています。特に40cmや50cmの大きめサイズは、ビジネスシーンからカジュアルまで幅広く活躍します。「メンズの場合、バーキンの持ち方は堂々としていることが重要です。自信を持って持つことで、そのマスキュリンな魅力が引き立ちます」と、メンズスタイリングの専門家はアドバイスします。ビジネスシーンでは手持ちで、バッグを軽く前に出す姿勢が洗練された印象を与えます。
エルメスアクセサリーによるパーソナライズ
バーキンをより個性的に、より自分らしく楽しむためには、エルメスのアクセサリーを活用することが効果的です。エルメスのシルクスカーフ「ツイリー」は、バーキンのハンドルを保護しながら華やかさを加える理想的なアクセサリーです。色や柄を季節やコーディネートに合わせて変えることで、バッグの印象を一新できます。
ツイリーを巻く基本的な方法は、まずツイリーを半分に折り、中央をハンドルの根元に合わせます。次に左右均等に両端を持ち、ハンドルに沿って交差させながら巻いていきます。端までしっかり巻いたら、余った部分をハンドルの内側に折り込みます。「ツイリーを巻く際は、柄の見せ方を意識すると効果的です。大胆な柄を外側に見せるか、控えめに内側に隠すかでも印象が変わります」と、アクセサリースタイリングの専門家は助言します。
応用テクニックとして、片方のハンドルのみに巻く非対称スタイルや、異なる柄のツイリーを左右のハンドルに巻くミックスマッチスタイル、季節に合わせた色合いのツイリーを選ぶシーズナルスタイルなどがあります。これらの工夫で、同じバーキンでも全く異なる表情を作り出すことができるのです。
TPOに合わせたバーキンの活用方法

様々なシーンや状況に応じた、バーキンの最適な持ち方とマナーをご紹介します。TPOに合わせた適切な持ち方は、バーキンの価値をさらに高めます。
ビジネスからソーシャルイベントまで
ビジネスの場でバーキンを持つ際は、フォーマルさと機能性のバランスが重要です。特に初めての会議や商談では、バッグの持ち方ひとつで第一印象が大きく変わることもあります。表持ちで、フラップをしっかり閉じた状態に保ち、右手または左手で持ち、握手や名刺交換の妨げにならないよう配慮しましょう。テーブルに置く際は、床に直接置かず、専用のバッグハンガーやチェアの上を活用するのがマナーです。
ビジネスシーンでは、バーキンを持つ際の所作も重要な要素として注目されます。急いで中身を取り出したり、乱暴に扱ったりせず、落ち着いた動作を心がけることで、洗練された印象を与えることができます。
ソーシャルイベントでは、バーキンの持ち方も装いの一部として考えましょう。フォーマルディナーではクラッチスタイルまたは表持ちで、テーブル上には極力置かないようにします。カクテルパーティーではアンダーアームスタイルで、ドリンクを持つ手と反対側で持つと機能的です。美術館やギャラリーではセキュリティを意識した裏持ちか、安定感のある手持ちスタイルが適しています。
トラベルシーンとデイリーユース
旅行中のバーキンの使い方は、特に安全性と機能性を考慮する必要があります。空港や駅といった混雑した場所では、バッグのセキュリティにも注意を払いましょう。混雑した場所では裏持ちを活用し、セキュリティを強化することをおすすめします。長時間の移動にはオプションのショルダーストラップを使用すると便利です。雨天時は専用のレインカバーで保護し(カバーは必ず純正品を使用)、大切なバーキンを守りましょう。
日常使いでは、バッグの中身の整理整頓も重要なポイントです。バーキンの内部は、特に大きめサイズのものは収納スペースが広く、小物が散らばりやすい傾向があります。専用のバッグインバッグを使用することで、内部の整理整頓と形崩れ防止を同時に実現できます。バーキンの内寸に合ったサイズを選び、軽量な素材で、バッグ本体への負担を軽減することが大切です。「バッグインバッグは実用性だけでなく、バーキンを長く美しく保つための投資でもあります。内部が整理されていると、開いたときの印象も格段に上がります」と、バッグオーガナイザーの専門家は説明します。
バーキンを美しく保つためのケア
バーキンの価値と美しさを長期間維持するには、日々の適切なケアと保管が欠かせません。使用後は柔らかい布で表面の埃や汚れを優しく拭き取り、革用の専用クリーナーで、目立たない部分を試してから全体を軽く拭きます。レザーコンディショナーを定期的に使用し、革の乾燥を防ぐことも重要です。
「日々のちょっとした気遣いが、バーキンの寿命を大きく左右します。特に雨や汚れに触れた後は、すぐにケアを行うことをお勧めします」と、レザーケアの専門家は強調します。
長期保管の際は、付属の保存袋に入れ、中に型崩れ防止の詰め物を入れましょう。直射日光や湿気を避け、風通しの良い場所で保管し、底の部分に負担がかからないよう、立てて保管することをおすすめします。
専門家によるメンテナンス
日常のケアに加え、定期的にエルメスの公式メンテナンスサービスを利用することで、バーキンの状態を最良に保つことができます。特にヘビーユースしている場合や、年数が経過している場合は重要です。1〜2年に一度の定期点検や、金具の緩みや革の状態に不安を感じたとき、シミや汚れが自分のケアでは対応できないときには、プロの手に委ねることをおすすめします。
「エルメスの職人によるメンテナンスは、単なる修理以上の価値があります。バッグの状態を専門家の目で診断してもらうことで、小さな問題が大きなダメージになる前に対処できます」と、古美術商は指摘します。
バーキン所有者のためのQ&A

バーキンの持ち方やケアについて、多くの方が抱える疑問にお答えします。これらの知識は、バーキンとの日々をより豊かにしてくれるでしょう。
あなただけのバーキンスタイルを見つける

バーキンの持ち方やスタイリングに唯一の正解はありません。伝統的な方法を尊重しつつも、自分のライフスタイルや好みに合わせた持ち方を見つけることが、このアイコニックなバッグを真に楽しむ秘訣です。
この記事でご紹介した様々な持ち方やスタイリングテクニックは、あくまでも出発点。日々の生活の中で、あなた自身の手によって、唯一無二のバーキンスタイルが生まれていくことでしょう。バーキンは単なるバッグを超え、持ち主とともに歴史を刻む生涯の伴侶となります。正しいケアと持ち方で大切に扱いながらも、堅苦しく考えすぎず、日々の暮らしの中で自然に馴染むように愛用してください。
そして何より、バーキンを持つ喜びとラグジュアリーの真髄を、存分に味わってください。あなたの手の中で、バーキンは最も美しい姿を見せるはずです。
「バーキンは持ち方ひとつで、その魅力を何倍にも増幅させることができます。しかし最終的に最も美しいバーキンの姿とは、それを愛する持ち主の自信に満ちた佇まいの中にこそあるのです」とパリのファッションジャーナリストは語ります。バーキンとともに歩む日々が、より豊かで洗練されたものになることを願っています。