コートに毛玉を見つけても、強くこすったり引っ張ったりすると、生地まで傷めるおそれがあります。毛玉は着用中や洗濯中の摩擦で繊維が絡み合ってできるため、コートの毛玉の取り方は素材や状態に合わせて選ぶことが大切です。
まず洗濯表示と生地の傷みを確認し、毛玉取り器、ハサミ、洋服ブラシを使い分けましょう。ウールやポリエステルの扱い方に加え、毛玉ができる原因や予防の手入れ、自宅で取らずに相談したい目安も整理できます。
- まず洗濯表示と生地の状態を見て、無理のない取り方を選びましょう
- ウールは毛並みを整え、ポリエステルは平らにして少しずつ処理します
- 着用後のブラッシングと洗濯時の摩擦対策で、毛玉をできにくくしましょう

コートの毛玉の取り方は、洗濯表示と毛玉の状態で選ぶ
作業前に洗濯表示と生地の傷みを確認する
毛玉を取りたいけれど、道具でコートを傷めないか気になるものです。まず洗濯表示を見て、素材や家庭での手入れ方法を確認しましょう。表示は毛玉取りの可否を直接示すものではありませんが、生地の扱い方を判断する手がかりになります。
洗濯表示の基本記号に重ねたバツ印は、その記号が示す処理や操作ができないことを表します。消費者庁の案内も確認し、洗濯や乾燥の可否と、毛玉を取る作業を混同しないようにしましょう。表示で迷う場合は、無理に水洗いせず、専門店へ相談する方法もあります。
生地の薄さや毛足の長さ、縫い目のほつれ、表面の傷みも見ておきます。薄手や毛足の長い生地は、毛玉取り器で繊維まで削るおそれがあるため慎重に。洗濯表示を確認し、目立たない場所で選んだ方法を試すと、広い範囲へ作業を進める前に生地の変化を確かめられます。
毛玉の量や場所に合わせて取り方を決める
道具は毛玉の量だけでなく、生地の状態や場所に合わせて選びます。表面の毛羽立ちが軽いならブラシで毛並みを整え、数個だけ固まった毛玉にはハサミを検討。広範囲にある場合も、毛玉取り器を使える生地か取扱説明書で確かめてからにしましょう。
毛玉取り器は、薄手・デリケートな生地や毛足の長い生地、縫い目や刺しゅう、高級品には使わないよう案内される製品があります。該当するコートは、道具を当てる前に説明書を確認してください。毛玉が取れにくくても、力を強めたり同じ場所を何度も刈ったりせず、方法を見直すのが安心です。
素材や毛玉の状態ごとの目安は下表のとおりです。ウールかポリエステルかだけで決めず、生地の厚さや毛足も見ます。判断に迷う場合や傷みがある場合は、ブラシで軽く整える範囲にとどめ、クリーニング店への相談も選択肢に入れてみてください。
| 素材・状態 | 洋服ブラシ | ハサミ | 毛玉取り器 | 専門店への相談 |
|---|---|---|---|---|
| ウール・軽い毛羽立ち | 毛並みを整える | 毛玉が少数なら慎重に | 説明書と生地を確認 | 薄手・長毛なら検討 |
| ポリエステル・厚手で平ら | 表面を整える | 孤立した毛玉に使う | 説明書に沿い試してから | 取れにくい場合に検討 |
| 毛玉が少数 | 毛羽を整える | 生地を切らないよう処理 | 使用可否を確認 | 傷みがあれば相談 |
| 薄手・長毛・縫い目など | 軽く整える範囲 | 避けるのが無難 | 使用を避け説明書確認 | 相談を検討 |
表面の軽い毛羽立ちはブラシ、少数の毛玉はハサミが候補になります。毛玉取り器は素材名だけで判断せず、厚さや毛足、取扱説明書を確認してから使うのがポイントです。
薄手や長毛、縫い目などは道具が生地に触れやすく、作業の負担が大きくなります。迷うときは無理に取り切ろうとせず、目立たない場所で試すか専門店へ相談しましょう。
毛玉取り器・ハサミ・洋服ブラシの使い分け
毛玉取り器は平らに置き、取扱説明書に沿って使う
毛玉取り器は広い範囲の毛玉を整えたいときに便利ですが、刃を当てれば生地の繊維も削れます。使う前に取扱説明書を確認し、薄手やデリケートな生地、毛足の長い生地、縫い目、刺しゅう、高級品に使えるかを確かめましょう。
使うときはコートを平らな場所に置き、しわを伸ばしてから、力を入れずに毛玉の上を動かします。生地を平らに保ち、力を入れずに動かすのがコツです。使いたい道具の取扱説明書を確認し、コートの目立たない部分で試してから進めると安心です。着たまま使う場合は、説明書に従って保護用アタッチメントを装着してください。
| 道具 | 向く状態 | 注意点 |
|---|---|---|
| 毛玉取り器 | 広い範囲に毛玉がある | 説明書を確認し、平らに置いて使う |
| ハサミ | 毛玉が少数で、境目が見える | 生地を引っ張らず、毛玉だけを切る |
| 洋服ブラシ | 毛並みを整えたい | 強くこすらず、毛玉を無理に取らない |
広い範囲に毛玉がある場合は毛玉取り器、少数ならハサミと、毛玉の量で選ぶと道具を絞りやすくなります。生地が薄い、境目が見えにくいなど不安があるときは、無理に処理を進めない方法もあります。
洋服ブラシは毛玉を切り取る道具ではなく、毛並みを整える手入れ向きです。どの道具を選ぶ場合も、まず取扱説明書を確認し、目立たない場所で試すと、コートへの負担を確かめながら作業できます。
ハサミで毛玉を切るときは生地を切らないよう慎重に
毛玉が少数だけ残っているなら、ハサミで毛玉の先端を切る方法もあります。衣類を平らな場所に置き、毛玉と生地の境目を見やすくしてから、先の細いハサミなどで毛玉だけを少しずつ切りましょう。急いで根元から切ろうとすると、生地まで傷つけるおそれがあります。
毛玉を引っ張ったり、布を持ち上げながら切ったりするのは避けたいところです。繊維が引き出されたり、刃が生地に入り込んだりしやすくなります。縫い目の近くや薄い生地で境目が見えにくいときは、無理に続けず、毛玉取り器の説明書を見直すか、専門家への相談も選択肢です。
洋服ブラシは毛並みを整える手入れに使う
洋服ブラシは、できてしまった毛玉を刈り取る道具というより、表面の毛並みを整えるためのものです。毛玉がほとんどないコートや、毛羽立ちを落ち着かせたいときに向いています。毛玉を無理に引きはがさず、まずは生地の表面を観察して使い分けましょう。
ブラシをかけるときは、生地の毛並みに沿ってやさしく動かします。強くこすると摩擦が増え、毛羽立ちにつながることもあるため、同じ場所を何度もこすらないようにします。目立つ毛玉が残る場合は、ブラシだけで取り切ろうとせず、状態に合わせてハサミなど別の方法を検討してください。
ウールコートの毛玉の取り方と注意点
毛並みを確認して洋服ブラシで整える
ウールコートに毛玉が見つかっても、すぐに強くこすらず、まず毛並みと毛玉の状態を見ます。毛玉の周りまで毛羽立っているなら、洋服ブラシで表面を整えるところから始めると、生地への負担を抑えやすくなります。小さく散らばる程度なら、まずブラッシングで様子を見ましょう。
コートを平らに置き、毛並みの流れを目で追ってから、ブラシを軽く動かします。毛流れに逆らって何度もこすると、繊維が絡み直すことがあるため、力を入れずに表面のほこりや乱れた毛を払う感覚が目安です。毛並みが分かりにくい場合は、目立たない端でブラシの動きを確かめます。
着用後のブラッシングは、毛並みを整えて毛玉の発生を抑える手入れにもつながります。脇や袖の内側、バッグが触れた部分は摩擦が重なりやすい場所です。そこだけ毛羽立っていても、強くこすらず、ブラシを当てる圧を控えめにして状態を確かめます。毛玉を取りきろうとせず、毛並みが落ち着くかを見る程度にしましょう。
毛玉が残る場合はハサミで少しずつ処理する
ブラシを通しても丸く絡んだ毛玉が残る場合は、引っ張らず、小さなハサミで表面だけを切る方法があります。毛玉を指でわずかに浮かせ、周囲の生地を平らに保ちながら、出ている毛先を少しずつ切ります。一度に根元まで切ろうとしないのがポイントです。
作業前に、コートを明るい場所で平らに広げ、しわやたるみがない状態に整えます。ハサミの刃先を生地に向けて深く差し込むと、毛玉と一緒に織り糸を切るおそれがあります。刃先を寝かせ、毛玉の輪郭に沿わせるように扱いましょう。毛玉の根元が生地に密着しているときは、無理に切り進めない方法もあります。
ブラシで毛並みを整え、残った毛玉は目立たない箇所で試してから処理するのが安心です。裏側などで少量を切り、毛羽立ちや生地の変化がないか確認します。手元が不安なときや毛玉が広範囲にあるときは、無理に続けず専門店へ相談する選択肢もあります。
クリーニング店によるメルトンウールのコートの作業例を確認できます。ウールコートの毛玉やほこりをどう扱うか、本文の手順と照らし合わせながら見るとイメージしやすくなります。
ポリエステルコートの毛玉の取り方
毛玉取り器を使う前に生地の厚さと取扱説明書を確認する
ポリエステルは化学繊維の一つで、毛玉ができやすく、できた毛玉が繊維に残って取りにくい場合があります。表面に毛玉が見えても、すぐに器具を当てず、コートの厚さや毛足、傷みの有無を先に確認しましょう。
毛玉取り器は、どの生地にも使えるわけではありません。取扱説明書で使用できる素材を確認し、薄手やデリケートな生地、毛足の長い生地、縫い目や刺しゅう部分、高級品が対象外とされていないか見ます。該当する場合は、使用を避ける選択もあります。
コートを平らな場所に置いてしわを伸ばし、説明書に沿って目立たない箇所から少しずつ試してください。着たまま使う場合は、説明書に従って保護用アタッチメントを装着します。生地が浮いたり、刃が引っかかったりしたら作業を止めましょう。
毛玉が取りにくいときは強く刈らずに方法を見直す
毛玉が一度で取れないときも、同じ場所を何度も往復したり、器具を強く押しつけたりするのは避けましょう。東京都クリーニング生活衛生同業組合によると、毛玉は繊維が絡み合ったものです。強く刈ると衣類の繊維まで削るおそれがあります。
生地を削らないよう、弱い力で少しずつ動かすことが大切です。表面に変化がないのに毛玉が残る場合は、器具の設定やアタッチメントを説明書で確認し、対応する方法があるか見直します。無理に刃を押し当てる必要はありません。
毛玉が繊維に絡んで動かない、表面が薄くなったように見えるなどの変化があれば、作業を中断してください。道具を替えて続けるより、コートの素材や状態を確認し、クリーニング店へ相談する方法もあります。生地を傷めないことを優先しましょう。
コートに毛玉ができる原因は着用中や洗濯中の摩擦
脇や袖の内側、バッグやリュックが触れる場所を確認する
コートの毛玉は、できた場所から原因をたどれます。東京都クリーニング生活衛生同業組合によると、着用中の摩擦で繊維が毛羽立ち、絡み合うことが発生のきっかけです。まずは毛玉の位置を確認しましょう。
毛玉の位置は、擦れた場所を映す手がかりです。脇や袖の内側は、腕を動かしたり、コートの生地同士が触れたりして摩擦が起きやすい部分。左右の袖や脇を見比べると、偏りにも気づけます。
バッグやリュックが当たる場所も見てみましょう。リュックなら肩ベルトや背面、ショルダーバッグなら体側とバッグが触れる範囲に毛玉が集まることがあります。毛玉が多い箇所と、バッグや衣類が擦れる状況を確認すると、原因を見つけやすくなります。
洗濯時の衣類同士の摩擦や糸くずの付着にも気をつける
洗濯中も、衣類同士がこすれることで毛玉につながります。表面が毛羽立ちやすいコートは、ほかの衣類と一緒に洗うと摩擦を受けることがあります。洗濯後に毛玉が増えたなら、洗濯前後で場所を比べてみましょう。
化学繊維の衣類では、糸くずが付着したり、別の衣類とこすれたりすることも気になる点です。パタゴニアは、ポリエステルなどの化学繊維を洗う際、タオルのように糸くずが付きやすい衣類や、デニムのように摩擦の強い衣類と分ける方法を紹介しています。
洗濯表示を確認したうえで、コートをほかの衣類と一緒に洗っているか、糸くずが付きやすいものを混ぜていないか振り返ると、原因を絞れます。特定の衣類と洗った後に毛玉が目立つなら、次回は分けて洗う方法もあります。生地の傷みが心配なときは、無理に自宅で洗わない選択肢もあります。
コートの毛玉を予防する着用後と洗濯時の手入れ
着用後に洋服ブラシで毛並みを整える
着用後のブラッシングは、表面に絡みかけた繊維を整え、毛玉の発生を抑える助けになります。コートを脱いだ後にハンガーへ掛け、洋服ブラシで表面を軽くなでる習慣を取り入れてみましょう。帰宅後の短い手入れなら、毛羽立ちに気づくきっかけにもなります。
ブラシは生地を押しつぶすほど強く動かさず、毛並みの流れを見ながら一定方向へやさしく動かします。毛足が寝ている場所は、力を足すより短い動きで表面を整えるのが目安です。素材や織り方で感触は異なるため、はじめは目立たない場所でブラシの当たり方を確かめると安心です。
脇や袖の内側など、腕の動きでこすれた部分は、全体をブラッシングしたあとに状態を見ておきます。リュックの肩ベルトや背面、ショルダーバッグが触れる位置も確認すると、毛玉ができ始めた場所に気づきやすくなります。毛玉を見つけても引っ張らず、表面の様子を見て処理方法を選びましょう。
洗濯表示を確認し、裏返しや衣類の分け洗いを取り入れる
洗濯の前には、コートの洗濯表示を見て、家庭でできる洗い方や避ける処理を確認します。消費者庁によると、基本記号に重ねたバツ印は、その記号が示す処理や操作ができない意味です。洗濯に関する記号にバツ印がある場合は自宅で洗わず、表示に沿う手入れやクリーニング店への相談を検討しましょう。
洗える表示でも、洗濯中の衣類同士の摩擦は毛羽立ちにつながります。ウールのコートを洗う場合は裏返し、表側がほかの衣類とこすれにくい状態にします。洗濯機を使うか、手洗いにするかなどは、表示と製品の取扱情報を照らし合わせて選びましょう。表示にない方法を自己判断で足さないことも、傷みを避ける手がかりです。
ポリエステルなどの化学繊維は毛玉ができやすく、できた毛玉が繊維に留まることもあります。脱いだらブラシで毛並みを整え、洗濯時は摩擦の強い衣類と分けることが、日々の手入れの基本です。タオルのように糸くずが付きやすい衣類も分けると、毛玉の予防に役立ちます。洗濯後は表面の毛羽立ちも確認しておきましょう。
| 場面 | 手入れ | 確認事項 |
|---|---|---|
| 着用後 | 洋服ブラシで表面を整える | 脇やバッグが触れる場所の毛羽立ち |
| 洗濯時 | ウールは裏返し、摩擦が強い衣類と分ける | 洗濯表示と衣類の組み合わせ |
着用後はブラシで表面を整え、毛玉ができやすい場所も見ておく流れです。摩擦が起きやすい箇所を把握しておくと、手入れの際に確認しやすくなります。
洗濯前は表示を見て、裏返しや分け洗いを取り入れます。バツ印がある記号の処理はできないため、家庭で洗えるか迷うときは表示に沿って判断しましょう。
クリーニングの専門家がウールコートのブラッシングや道具選びを紹介する動画です。着用後の手入れや毛玉予防を、具体的な作業例と合わせて確認できます。
自宅で毛玉を取らずクリーニング店に相談する目安
薄手・デリケートな生地や毛足の長いコートは慎重に扱う
薄手の生地や、起毛が長くふんわりしたコートは、毛玉取り器を当てる前に立ち止まりたい素材です。機器の刃が表面の毛羽まで拾うと、毛並みが乱れたり生地が薄くなったりするおそれがあります。取扱説明書で使用を避ける生地に挙げられている場合は、自宅で処理しない選択もあります。
表面に毛足があるコートは、毛玉だけを狙っても周囲の繊維を巻き込みやすいものです。試しに目立たない場所へ強く当てるのではなく、まず洗濯表示と機器の説明書を確認しましょう。毛玉が少なくても、生地が薄い、毛並みが乱れているなど気になる状態なら作業を止めて構いません。
洗濯表示は、コートの内側などにあるタグで確認できます。基本記号に重ねたバツ印は、その記号が示す処理や操作ができないという意味です。表示は毛玉取り器の使用可否を直接示すものではないため、洗濯などの禁止事項と機器の取扱説明書を分けて読みましょう。
縫い目や刺しゅう、高級品などは取扱説明書や専門家に確認する
縫い目の近くや刺しゅうの上は、刃やハサミが糸を引っかける可能性があります。装飾の糸を毛玉と見分けにくいこともあり、少し切っただけでも見た目が変わる場合があります。こうした箇所は、毛玉が小さくても無理に道具を入れないほうが安心です。
高級品や仕立ての複雑なコートも、素材表示だけで自己判断しにくい場合があります。毛玉取り器の説明書に使用を避ける例として縫い目、刺しゅう、高級品などが示されていたら、その案内を優先してください。平らに置けない形や、裏地を巻き込みそうな箇所も作業を控える目安です。
洗濯表示や取扱説明書で禁止事項を確認し、判断に迷う場合はクリーニング店へ相談してください。相談時は、毛玉の場所とコートの素材表示を伝えると、状態を共有しやすくなります。タグを撮影しておけば、店頭で説明するときにも確認がスムーズです。急いで仕上げたい場合でも、先に相談する方法があります。
まとめ
コートの毛玉の取り方は、毛玉をなくしきることより、生地の風合いを損なわない見極めも大切です。少し残っていても、コートの状態を優先してかまいません。
今日は毛玉ができやすい場所を一つだけ確かめ、次に着た後からブラッシングを習慣にしてみるのもよいでしょう。小さな気づきが、手入れのきっかけになります。

